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北冬名鑑

Hokutoh Encyclopedia

うらたじゅん Urata Jun

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1954年11月、大阪市内に生まれる。
中学1年のときに石森章太郎「マンガ家入門」を読み、本格的に漫画を描き始める。美術部付属のマンガ研究会初代部長として活動する中、通院していた耳鼻科にて、発売間もない『ガロ臨時増刊号 つげ義春特集①』を読み、「紅い花」に感銘を受ける。それまでは主に『COM』の岡田史子を好んで読んでいたが、以降、意識的に『ガロ』を読み始める。

高校卒業後、予備校時代の友人から薦められ『跋折羅』を読み、行きつけのロック喫茶にて『夜行』を読む。1974年、「自給自足の生活に憧れて」家出を決行。夏の間北海道を渡り歩き、8月の末、ヒッチハイクで南下、与那国島、石垣島など、返還間もない沖縄の離島を彷徨して回る(このときの体験は「浮浪漫歩シリーズ」として漫画化されている)。1年間の旅の果てに京都に戻り、嵐山の京友禅の工房で絵付けの仕事につく。

出産を経て、1979年に『ぱふ』の漫画倶楽部に漫画を初投稿。「・・・・・・」(詳細不明)が縮小掲載される。この投稿をきっかけに幻堂出版と知り合い、『幻堂漫画館』2号に「情人たちへ」(84年?)を発表。

『ぱふ』作品を見た自費出版サークル「つばめれーべる」より、うらたじゅんこ、うらた純名義で断続的に同人誌に参加(『紅燕』(81.11)『そ』(82.11)『ねおお3』(83.10)『瞬在』(85.2))。1987年『おんな便利屋奮戦記』(海風社)でイラストレーターとして仕事を始める。88年3月には、仕事仲間のデザイナー、編集者とともに夢通信社を結成、『CLAWN』を発行する。同人活動はその後も続き、90年から96年まで、アルバイトしていた居酒屋の友人たちと同人誌個人誌『夏休みの友』(限定50部、全7号)を作成。この頃、「牧野公民館だより」に四コマ漫画を連載(91~94年)。

97年8月、ミニコミ時代の作品を集めた処女作品集『うらたじゅん絶対完璧作品集 赤い実のなる木』(幻堂出版、限定300部)発表。2000年より、「気刊 何の雑誌」に作品を掲載(4号まで、3号では「特集1:うらたじゅん漫画3本勝負」が組まれている)。
幻堂での活動は多岐に渡り、「(秘)幻堂のびっくりテープ」(詳細不明)にて歌を発表、映画『シルバードリーム 夢銀幕世界 私は決して暗くない』(?年、限定50個、監督:赤土輪)『猟奇姉妹』(詳細不明)にて主演女優を務めている。うらたは1980年代、元『芸術劇場』の木村紫光らを中心に京大西部講堂などで活動していた歌劇団「ZIGI」に参加(第三回公演から)しており、このときの経験を活かしたものと思われる。

現在、大阪牧野在住。『幻燈』に作品を発表しているほか、2001年秋よりタウン誌「ぶらり奈良町」にイラスト・ルポ「奈良町画報」を連載、2008年3月3日より読売新聞夕刊連載小説「朝顔男」(唐十郎)の挿絵を手がけている。2002年3月23日より公式サイト「うらたじゅん」がスタート、View漫画と称して作品を公開しているほか、自身のブログ「道草日記」を精力的に更新している。07年9月、自身初の個展「夏のてっぺん」がビリケン・ギャラリーにて開催される。

イラスト担当本に『はじめてのクッキング』(辻学園BOOKS、95、ジャパンクッキングセンター)、『くぬぎ丘雑記』(川崎彰彦著、02、宇多出版企画)、『貸本マンガRETURNS』(貸本マンガ史研究会、06、ポプラ社)などがある。 

98年3月、『幻燈1』に「冬紳士」を発表、漫画家デビュー(ほぼ同時期の98年4月に「思い出のおっちゃん」で混迷期『ガロ』に初登場するも、2作品を発表するのみで、すぐに雑誌休刊となる)。怒涛の勢いで毎号作品を発表し続け、既に『真夏の夜の二十面相』(03/8)、『嵐電RANDEN』(06/9)と2冊の作品集が編まれている。『幻燈』作家として作品集を出したのは唯一うらただけであり、『真夏の~』は『三橋乙椰読本』以来、実に13北冬年ぶりとなる新作マンガ集として注目を集めた。

『幻燈』収録作品:2号「眞夏の夜の二十面相」、3号「鈴懸の径」「シーサイドホテル」「浮世一夜」(小特集)、4号「眠れる海の城土」「RANDEN」「病窓紀行」、5号<特集「うらたじゅんの世界>「川をのぼる魚」「虹色の銃」「渡難」「五月の風の下」インタビュー「ささやかな喜びを大切に、のんびりマイペースで描いていきたい」、ほか評論・書評多数、6号「金魚釣りの日」「発禁・櫻御前」宮岡蓮二の評論「英霊異論―うらたじゅん「鈴懸の径」は「靖国」を撃つか」(小特集)、7号「河原町のジュリー」「june birth date」インタビュー「70年代音楽シーンを語る」(小特集)、8号「海の夜店」「うらたじゅん・山田勇男対談ー地上5センチを歩く」「座談会・うらたじゅんの多様な世界」宮岡蓮二、権藤晋、斎藤種魚、まどの一哉

2017.1.8  Kunimoto Kanei

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