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北冬名鑑

Hokutoh Encyclopedia

加藤泰 Kato Tai

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本名加藤泰通。1916年神戸生まれ、85年6月17日逝去。若くして戦死した天才監督・山中貞雄の甥にあたる。
 1937年、山中の紹介で東宝に助監督として採用される。東宝に4年間在籍した後、理研科学映画を経て、満州映画協会で記録映画を撮る。
 戦後、47年に大映に入社。伊藤大輔の助監督などを務めるが、レッド・パージでクビになる。50年、宝プロに助監督として入り、翌年『剣難女難 女心伝心の巻』で監督デビュー。娯楽時代劇を発表する。
 56年に新東宝から東映に移籍、時代劇、仁侠物、戦争映画と、10年間で21本もの作品を発表した。奇抜なシナリオ、ローアングルや長廻しの卓抜した技法、そして人間の醜さを烈しく描写した『真田風雲録』『幕末残酷物語』『明治侠客伝・三代目襲名』等の作品が評判を呼んだ。

 66年以降、松竹・東宝・東映それぞれでメガホンを取り、伝説のアウトロー・安藤昇と組んだ“戦中世代三部作”『男の顔は履歴書』『阿片台地 地獄部隊突撃せよ』『懲役十八年』、賛否両論を呼んだ現代劇『みな殺しの霊歌』、『緋牡丹博徒』三部作などを発表。ドラマプロデューサー・逸見稔を中心とする創造集団「葉村彰子」のメンバーとして、『水戸黄門』『大岡越前』の原作・脚本も担当した。
 著書に『加藤泰作品集』(86、大和書房)『加藤泰、映画を語る』(94、筑摩書房、山根貞男・安井嘉雄編)『加藤泰映画華』(95、ワイズ出版、山根貞男編)などがある。

 72年より81年まで、雑誌『加藤泰研究』が不定期刊行された(5号より誌名は『日本映画研究』)。加藤は執筆・インタビュー・シナリオなどで、刊行された8号すべてに登場している。『夜行14』には「伊藤大輔の映画世界」「続・伊藤大輔の映画世界」を掲載。

 共著に『遊侠一匹 加藤泰の世界』(70、幻燈社、山根貞男編)、『日本侠花伝・加藤泰シナリオ集』(73、解説・山根貞男)、『加藤泰の映画世界』(86、『遊侠一匹』の追悼改訂版、鈴木清順、佐藤忠男、久保隆ほか)、『加藤泰資料集』(94)、松竹時代の助監督・三村晴彦による『「天城越え」と加藤泰』(04)がある。

2017.1.8  Kunimoto Kanei

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